整体は無病ということではない
普通、体が整っているということを健康ということと結びつけて考えています。確かにこれは間違いないのですが、では健康とはどういうことかというと、それを無病ということと結びつけている人がいる。そのために、病気になったら、もう健康でなくなったと思う人がたくさんいるのです。
ところが整体という観点からすれば、たとえ病気になっても整体は整体なのです。というのは何故かというと、悪い物を食べて吐いたとか、下痢をしたとか言っても、それは胃袋に、そういう悪い物に対して正当防衛をする力があったということであり、胃袋は正常だった、腸は正常だったと言うべきですから・・・。それを吐いたから病気になったとかお腹を毀(こわ)したとか言って騒いでいる。ちょっとおかしいですね。バイ菌が入ってくれば熱が出、喉(のど)にゴミがひっかかれば咳(せき)が出るが、それらも皆、体の機能が正常に発揮されたからであって、体がまともだったらそうなるべきなのです。熱が四十度も出ると、それっきりバイ菌が繁殖できなくて消滅してしまうのだから、体はバイ菌が繁殖しにくい状態を素早く作ろうとして熱を出すのです。
病気にならないのに整体でない人もあるのです。脳溢血(のういっけつ)を起こす人や、心筋梗塞(しんきんこうそく)を起こす人は、その一瞬前までは丈夫のつもりでいて、突然ガタッと死んでしまう。肝硬変(かんこうへん)でも癌(がん)でも白血病でも皆、自覚症状がないし、病気としての徴候も明瞭でない。いつの間にか進行していて、みつかった頃にはガタッと倒れてしまうけれども、そういう状態は決して健康な状態とは言えない。
よく「俺は風邪ひとつ引かないほど健康だ」と威張る人がいます。確かに癌や脳溢血や肝硬変などになる人も体をよく観ていると、皆そうなる前に、風邪を引かなくなっているが、風邪を引いたり、下痢をしたりして、ちょこちょこ変動を起こしている間はむしろ安全だと言える。
病気の有無でもって健康であるか否かという基準にするということはおかしいということになりますね。
月刊全生 第七三〇号より
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